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lddc-002 70分
エリック・サティが神秘思想家 ジョゼファン・ペラダンの劇音楽として作曲しながらも、前奏曲しか演奏されることのなかった未発表の大曲。ピアニスト柴野さつきの精緻なアナリーゼとアーティキュレーション構築による全曲版。日本初スタジオレコーディング。
星たちの息子~サール・ペラダンによる牧歌劇 古都カルデア
1. 第1幕への前奏曲
2. 第1幕 使命~カルデアの夜
3. 第2幕への前奏曲
4. 第2幕 入信~大寺院の地下の大広間
5. 第3幕への前奏曲
6. 第3幕 呪文~パテシ・ゴデア宮殿のテラス
7. 天国の英雄的な門への前奏曲
music by erik satie
le fils des étoiles – edited by christopher hobbs
satsuki shibano : piano (bosendorfer imperial-flugel)
www.satsukishibano.com
produced by yoshio ojima
recorded and mixed by naoto shibuya (crescente sound)
recorded at crescente studio in 2014
assistant engineer : kei izawa at crescente studio
mastering engineer : wataru ishii at onkio haus
piano tuning : kohki mizushima (b-tech japan)
art direction and design : sanemasa mushakoji (chérubim)
[「星たちの息子・全曲版」について]
1892年、パリのデュラン・リュエル画廊において、当時エリック・サティが聖歌隊長として入団していた神秘思想家 ジョゼファン・ペラダンが主催する「カトリック薔薇十字団」の絵画サロンが開催されました。そこではぺラダンの台本による神秘劇「星たちの息子」が上演され、サティはその劇中音楽を作曲することを任されました。サティは、複数のハープとフルートによる全6曲(3幕の音楽 + 3つの前奏曲)の劇音楽を作りましたが、当日演奏されたのは3つの前奏曲のみで、メインであるはずの3幕の音楽はなぜか演奏されませんでした。ペラダンと決別し「カトリック薔薇十字団」を脱退した後、サティはあらためて「星たちの息子」をピアノ曲として発表しますが、この時も「星たちの息子への3つの前奏曲」として前奏曲の部分しか出版しなかったため、長きにわたって「星たちの息子」は「前奏曲集」として認識されていました。ところが近年、当時の上演用に書かれたサティの手書き譜による「星たちの息子」が発見されたことでその全貌が明らかとなり「星たちの息子・全曲版」が蘇りました。
「全曲版」で明らかとなった劇では使われなかった3幕の本編部分は、各幕が約20分近くあるサティとしてはめずらしく長編の音楽です。それらはパッチワーク的な構造を持った音楽で、「3つの前奏曲」で聴くことができる旋律が、「全曲版」では引き延ばされた時間の中で提示され、幾度となく現れては消え、反復し、重なりながら、アンビエントな世界を描き出しています。また、晩年の作品「梨の形をした3つの小品」や死後発見された「グノシエンヌ第7番」などの元となるメロディやモチーフがコラージュ的に配されている箇所があり、サティ・ファンにとってはとても興味深い内容になっています。
柴野さつきは今回の録音に際して、英国の現代音楽作曲家 クリストファー・ホッブス氏がサティの手書き譜を元に編纂した私家版楽譜の提供を受け、サティのスペシャリストである柴野ならではの精緻なアナリーゼと独創的なアーティキュレーション構築を施して演奏しました。
エリック・サティ最大の未発表曲である「星たちの息子・全曲版」が、時空を越えて、今ここに誕生します。
[神秘劇「星たちの息子」について]
「古都カルデアに自分の詩をリラで奏でて歌う羊飼いの少年がいました。その歌声は天空まで届き「星たちの息子」と呼ばれていましたが、ある娘と恋に落ちたことから娘の父親の逆鱗に触れ、さまざまな困難を待ち受けることとなりました。ところが少年の歌声や詩があまりにも素晴らしかったので、祭司をも虜にしてしまい、ついにめでたく結婚にいたる・・・」といった内容です。